チケットの不正転売禁止法の施行によりチケットの高額転売で逮捕の可能性も!法律違反となる譲渡とは?

チケット不正転売禁止法初心者講座
チケット不正転売禁止法

『特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通な確保に関する法律(以下、チケット不正転売禁止法)』が、平成30年12月14日に公布され、令和元年6月14日から施行されました。

本法律の施行により興行チケットの転売は違法になる思われるかもしれませんが、実はチケットの転売全てのが禁止されているわけではなく、定義が非常に曖昧で、穴だらけ、抜け道だらけ、違法な転売かの証明も難しくザル法と危惧されています。

実際に本法律の施行によりインターネットオークション・転売サイトなどを利用したチケットの不正転売は無くなったのでしょうか?

また、本法律の施行により、急用・体調不良などの、やむを得ない事情で公演に行くことができなくなってしまった人はどうすればいのでしょうか?

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チケット不正転売禁止法とは?

『特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通な確保に関する法律』は、チケット不正転売禁止法、入場券不正転売禁止法などと略され、2018年12月4日に衆議院、12月8日に参議院で共に全会一致で可決、成立し、同年12月14日 法律第103号として公布されました。

附則第1条の規定により『公布の日から起算して6ヶ月を経過した日から施行する』とされているため、本法律は2019年6月14日より施行されたしま。(附則3条『準備行為』は公布日より施行)

簡単な言葉で説明すると、『成立』とは、法律ができることで、『公布』とは、成立した法令・条例などの内容を一般に知らせることで、『施行』は、法律の効力を実際に発生させることをいいます。

公布から施行までの期間は周知期間ということになり、実際に違反した者が罰則を受けるのは施行日からとなります。

チケット不正転売禁止法成立の背景

ライブエンタテイメント市場の拡大、ネット環境の普及に伴うインターネットオークション、フリマサイト、二次流通サイトでの転売の容易さに伴い、チケットの高額転売がエスカレートし社会問題となっていました。

例えば、海外の有名アーティストの日本公演や、ジャニーズ事務所の人気アイドル(特に嵐など)のコンサートなどは、定価の10倍以上の価格で取引されることも珍しくはありません。これらが特殊ということではなく、常時開催、定期開催している『劇団四季』『宝塚歌劇団』『東宝演劇』のチケットなども定価の数倍の値段で日常的に取引されています。

需要があるから供給があるという意見もありますが、不正転売行為は自分の努力、才能ではなく「人の褌で相撲を取る」迷惑以外の何者でもない恥ずべき行為であり、本当に観たい人がチケットを購入することができず、興行主も対策に頭を痛めていました。

興行主が転売を禁止にしていても法律上は罪に問われることがないことがないためです。

このため、2016年に音楽業界団体と著名アーティストが連名でチケットの高額転売に反対する広告を発表し、本法律の施行に至りました。2020年に東京オリンピックを控えていたこも大きく影響しています。

法律違反となるチケットの転売は?

通常、興行のチケットというのは数カ月前に予約するのが当たり前です。中には急用や体調不良等などの、やむを得ない事情で公演に行くことができなくなってしまう人もいます。

このため、全ての転売が禁止されているわけではありません。この定義が非常に曖昧なため、業者による転売行為は防止には一定程度の有効性はあるかもしれませんが、個人の転売野郎には言い訳を与える隙を残しており、あまり期待がもてないと言われています。

本法律で禁止されている不正転売とは、何なのかというと、条文を引用すると下記の通りになります。

興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう

この条文の中には四つの要件があり、『興行主の事前の同意を得ていない』『対象が特定興行入場券』『業(職業・仕事)として行う有償譲渡』『販売価格を超える価格での転売』これらの全てに該当すものが違法となるのか、一部でも該当していれば違法になるのか定かでなく、裁判による判例も少ないため、明確にどのような取引が違法になるのか現時点で不明です。

しかし、一部でも該当していれば違法と言うのであれば、ネットオークション・転売サイトに出品されているチケットは、興行主の許可を得ていないであろうから、違法行為を幇助しているサイトということになってしまいます。今のとこを取り扱いの中止・サイト閉鎖の処置がとられていないということは、一部では違法にならないと思われます。

興行主の事前の同意を得ない譲渡

文字通り、興行主の事前の同意を得ていない転売は認められないということです。

但し、チケット転売禁止法に関係なく事前に許可を得ていない転売は興行主が有効性を認めていない場合があります。

尚、一緒に行く相手のチケットをまとめて注文したり、ネット注文に不慣れな高齢の親に代わり家族が注文することもあるため、家族・友人間での譲渡や、本当に用事で行けなくなってしまった方もいるだろうから定価以下の譲渡まで禁止している興行主は少ないです。

特定興行入場券

条文は、特定興行入場券の高額転売を規制するとあり、全ての興行のチケットが対象となるわけではりません。

『特定興行入場券』とは何なのかというと、条文を引用すると下記の通りになります。

興行主が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明記し、かつその旨を「当該興行入場券の券面に記載」「興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者又は座席が指定」がある

分かりやすい言葉に言い換えると、興行主が転売(有償譲渡)を禁止し、券面や電子チケットの端末画面に購入者氏名や座席が明記されている、またチケット購入の際の決済画面などで興行主が個人情報を確認する旨を明示しているものが対象となります。

したがって、チケットに購入者の氏名や座席番号が記載されていないチケットや、無料で配布されたイベント整理券などは、転売規制の対象となりません。

業(仕事・職業)として行う有償譲渡

業として行う有償譲渡とは、一般に、反復継続して、社会通念上、事業の遂行とみることができる程度のものを言います。

業者でなく個人であっても、反復継続の意思があると判断されれば不正転売に該当すると判断される場合がありますが、反復継続してチケットの転売をしていない年数回程度の取引であれば問題がないと解釈することもできます。

尚、年間でいくら稼いだら業とみなされるか不明ですが、目安としては、サラリーマンが副業で確定申告する必要があるかどうかの基準の1つにいわゆる「20万円ルール」があります。年間で20万円以上の売り上げがある場合は業として行っていると判断される可能性が高いと思っていいでしょう。

額面(販売価格)を超える価格での譲渡

「高額転売」が問題となっています、人によって価値観が違うため、一体いくらからが高額なのか分からないといった議論がなされていますが、条文の中に『高額転売』という言葉は出てきません。

条文には販売価格を超える価格をその販売価格とあり、チケットの額面より1円でも高く譲渡すれば法律に反する可能性があります。

しかし、先に延べた通り、他の要件を満たしていなければ、取引価格が額面以上であっても問題がないと解釈することもできます。

現実的な問題として、悪質とは言い難い数百円程度の上乗せに警察が動くとは考えにくく、チケット購入の際に一緒に支払った送料・販売手数料の扱いについての明記もありません。

チケット不正転売禁止法の罰則

チケットの不正転売を行った者は、1年以下の懲役もしくは 100万円以下の罰金、または併科される可能性がありますが、この罰則は転売防止の抑止力となるでしょうか?

法律施行以前にも悪質な転売者は『転売が目的で自分が観るつもりがないのに興行主からチケットを騙し取った』という詐欺罪で逮捕される事例はありました。

刑法で定められた詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役です。詐欺罪には罰金刑がないため、不起訴にならなけれぼ初犯であっても執行猶予が付かず、即刑務所に収監される可能性もある大変厳しい罰則です。

しかし逮捕者が出ていたにもかかわらず転売は一向になくなることはありませんでした。

詐欺罪の執行猶予無しの懲役刑に比べ、チケット不正転売禁止法の罰則は軽いと言わざるを得ません。

転売野郎共は少しは気にしているのか、二次流通サイト出品の際に説明文で『急用で行けなくなり泣く泣く出品します』といったように、予防線を張っていますが、明らかに不正転売と思われる出品は減っていません。真っ当な商売をしているつもりか、チケットの価格を12,800円、19,800円などのように設定しているところも気持ちが悪いです。

本法が転売防止の抑止力として有効なものとなるためには、警察による大規模な摘発が必要です。今後、オリンピックのチケットが市場に出回りだした頃に、一度見せしめ的な摘発があるのではないかと予想されています。

正直、微罪ですが、法律が施行され初の逮捕者、社会問題となっているチケット転売で、時期的にオリンピックにも関連付けられ、メディアでも実名報道されりする可能性が高いでしょう。このように『見せしめ的な逮捕』は抑止力としては非常に有効です。

見せしめ的な逮捕と言うと言葉が悪いかもしれませんが、法に触れたのですがら逮捕は当然、全く同情の余地はありません。

【更新情報】

名古屋市の劇場「御園座」は14日までに、15日~21日に上演される東宝ミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア」のチケットが販売サイトで、他人名義のクレジットカードを使って大量に不正購入されたと発表しました。不正に購入された枚数は1000枚超に上り、インターネットオークションや転売サイトへ出品されていたことも確認されています。観客が入場する際、座席番号を一人ずつ確認するという。
本件は単純に不正転売禁止法に反するのではなく、他人名義のクレジットカードを使用した不正購入の方が問題であるが、事情を知らない善意の第三者であっても興行主が認めていない方法で入手したチケットの有効性を認めないということです。
2019年11月28日、東京都北区に住む東京都の千代田都税事務所の職員がチケット不正転売容疑で逮捕されました。警視庁の発表によると、容疑者は7月~10月にわたりプロ野球オールスター戦や宝塚歌劇団のミュージカルのチケットを転売。2万5100円相当のチケットを5万6500円で転売したとされています。容疑者は2012年3月以降1679回にわたって3216枚のプロ野球やコンサートのチケットを転売。約4700万円の売上を得たとみられています。

やむを得ない事情によるチケット譲渡

興行のチケットは何ヶ月も前に予約をするのが普通であり、急用などで行くことができなくなってしまう人がいます。

このような人の救済処置として「チケットぴあ」が、音楽事業団体(音制連、音事協、ACPC)公認のチケット2次売買サービス「チケトレ」というサービスを展開しています。

他にも、定価以下のチケット救済サービス「空席救済・満席応援 おけぴ」で取引されたチケットは多くの劇団・音楽団体などから有効性が認められています。

  • 音楽事業団体 公認のチケット2次売買サービス チケトレ
  • 空席救済・満席応援 おけぴ

上記サイトで購入したチケットは問題なく入場ができ、舞台を観劇することができます。

但し、公演によっては会場で本人確認を求められる場合があります。その際に、不正入手したチケットではないことを証明するため、念のため取引画面のスクリーンショットを保存しておくことをお勧めします。

  • チケットキャンプ
  • チケット流通センター
  • チケットストリート
  • インターネットオークション
  • フリマサイト

インターネットオークションは実際に売れた金額に関係なく、オークションに出品する行為自体が認められていません。理由は、オークションの本来の目的というものは、商品を高く販売するために利用されるため、高額転売の意思があるとみなされます。

フリマサイトは最初から販売価格を自分で設定するので、定価以下であれば問題ないと思うかもしれませんが、これらのサイトは高額転売を目的に出品している人も利用しているため、利用は避けた方が無難です。

興行主に求められる対応

興行主の中には、いかなる場合も本人以外の入場を認めないとしている場合があります。

先日、札幌市で11月下旬に開かれたフィギュアスケートのNHK杯のチケットを巡り、運営側の対応に賛否の声が上がっています。

父親名義で購入したチケットを持って会場に行った娘が、本人確認で入場を認めてもらえず、学生証に加え、自身と父親の氏名が記載された健康保険証を提示しても結果が変わることはありませんでした。

主催した日本スケート連盟は、NHK杯では「主催者の同意のない譲渡は有償・無償にかかわらず禁止」と定めていたため、対応に問題はありませんが、チケット転売問題に詳しい専門家は柔軟な対応が必要と提案しています。

また、運営側には、いかなる場合も本人以外の入場を認めないというのであれば、やむを得ない事情で行くことができなくなってしまった人の救済処置を予め用意しておく必要があると言えます。

まとめ・総括

チケット不正転売禁止法の施行により下記の要件を満たす取引は法律に反することになりました。

  • 興行主の事前の同意を得ない取引
  • 取引されるチケットが特定興行入場券
  • 業(仕事・職業)として行う有償譲渡
  • 額面(販売価格)を超える価格での譲渡

しかし、逆を言ってしまえば、これらの要件を満たさない取引は法的に問題が無いと解釈することもできます。

但し、法律の施行から間もないため、裁判による判例も少なく、明確にどのような取引が違法になるのか現時点で不明です。

また、法律で禁止されている、されていないに関係なく、額面以上の金額で譲渡されたチケットの有効性をほとんどの興行主は認めていません。

やむを得ない事情があってチケットを譲渡する場合は、法律・興行主の規約の両方を理解した上で譲渡するようにしましょう。